AGA(男性型脱毛症)は、医療機関での治療がオススメです。医療機関での治療には基本的に健康保険が適用されませんが、使用する薬や個人の健康状態によっては適用されることがあります。
また、AGAは自由診療ではありますが、生命保険等に加入するときに必要な「告知義務」の範囲に含まれます。
AGA治療と健康保険との関係、生命保険等への加入時の告知義務との関係について解説します。
目次
AGAの治療は【保険適用外】の自由治療!その理由とは

医療機関での治療は健康保険が適用される治療と、適用されない治療があります。健康保険の適用となれば治療費の一部が保険で賄われるため、自費は抑えられます。
健康保険の適用とならない治療は、自由診療と呼ばれ全額が自己負担となるため医療機関での支払額が大きくなります。AGAをクリニックで治療する際の治療費は基本的に健康保険の適用とはなりません。
AGAの治療に健康保険が適用されない理由についてみていきます。
【理由①】AGAは命に関わらない⇒病気やケガではないから
AGA治療に健康保険が適用されない理由のひとつは、その症状の特性にあります。通常、健康保険は主に病気やケガといった命にかかわる症状を治療するときに適用されます。
AGAはどちらの定義にも当てはまらないため自由診療が採用される治療です。AGAと同様に健康保険が適用されない治療には美容のための整形手術やシミ除去、近視のレーシック治療、健康診断などが挙げられます。
AGAは、治療をしなくても命に関わることはなく、本人の容姿をよくするための治療であるため健康保険が適用されません。多くの人が加入している健康保険は相互扶助の精神に基づいた仕組みで、加入者が病気になったときの負担軽減を目的としているため、このように適用範囲が定められています。
【理由②】日本では非推奨!海外の治療薬の処方もあるから
医療機関で使用される薬の中には海外の製品で日本未承認のものもあります。
日本では承認されていませんが、これらの薬剤は海外各国で認可され、実際に治療現場で使用して治療効果が確認されたもの。日本の医療機関で処方される日本未承認の薬剤は、厚生省が輸入を認めているのもので、製薬メーカーが製造したものです。
AGA治療や美容治療で日本未承認の薬が使われることは珍しくはありません。しかしながら、日本での承認が降りていないため健康保険適用とはなりません。
日本で承認されていない薬剤は、治療を受ける側が希望したときに処方されますので、選択は患者の意志によります。
保険適用外でも?AGA治療は保険会社への告知が必要

生命保険等に加入するときは、病歴など健康状態を保険会社に届け出る必要があります。この内容によっては加入できない保険があり、加入できても保険料が変更になることがあります。
保険加入の際に偽りなく告知をすることで、適正な保険料が算出され必要が生じればその保険料を受け取ることができます。
この告知内容には全額自己負担で治療を受けた健康保険適用外の治療、自由診療も含まれます。健康保険を使わず自己負担で治療を受けても治療を受けたことには変わりありません。
告知義務に違反した場合は生命保険等の保険料が全額又は一部支給されないことがありますので、注意が必要です。
【確認】告知義務とは?自分の健康状態や病歴を報告

生命保険等に加入するときには告知義務があります。生命保険等は相互扶助で成り立っているため、加入者が公平に負担を追うために、加入希望者の健康状態を的確に判断する必要があります。
保険会社は加入希望者から提出された告知に基づき、加入の可否を判断します。そのため、加入者からの告知自体に偽りや誤りがあっては正しく判断することができません
。告知内容は、既往歴や定められた期間における入院、通院歴など。定められた期間内に医師による治療を受けた場合は、その治療が保険適用外の自由診療であっても申告する必要があります。
もし、申告について漏れがあった場合は、その時点で生命保険契約が解除されることがあります。また、保険給付金受け取りの段階で申告義務違反が発覚すれば、保険金が支払われないこともあります。
AGA治療と加入保険の関係!知っておこう3つのこと

AGAの治療を受けた場合、現在加入している生命保険等と何か関係があるのかについて気になるところ。AGAの治療そのものに関しては生命保険等が給付されることはありませんが、実は後々に大きく関係してくることがあります。
AGAの治療を受けたことで加入中の生命保険等の給付に影響を及ぼすリスクと、給付トラブル等を回避するための方策について解説します。
もしもの病気に!AGAの治療には【副作用のリスク】あり
AGAの治療薬には、以下の副作用のリスクがあります。
- かゆみやかぶれといった皮膚疾患
- 性欲減退、勃起不全など男性機能に関する影響
- 頭痛
副作用については健康な人であれば確率は1~2%ですので、怖がりすぎる必要はなさそうです。しかし、基礎疾患がある人やAGA以外の疾患で治療中の人は要注意。AGA治療薬の副作用で血圧が変化することや、血流にトラブルが生じることがあり、それによって重篤な疾患を招く可能性があります。
こういった副作用で治療を受ける場合、生命保険等の給付対象となることがあります。この治療による保険給付を受けるためには、元となったAGA治療を保険会社に申告している必要があります。
【告知義務違反】を防ごう!必要なときに頼れなくなる
生命保険等に加入するときには告知義務が課せられます。これは加入希望者の義務でもあり、加入希望者自身を守るためのものでもあります。
- 加入後2年以内であれば、保険会社から契約解除されることがある
- 給付請求の際に、保険金を受け取ることができないことがある
もし保険会社から契約解除された場合、これまで支払った保険料は解約返戻金などが設定された保険商品を除いて返金されることはありません。
また、生命保険等の給付請求をしても、保険金を受け取ることができない可能性が大いにあります。自分自身としては告知義務違反をしたつもりがなくても、申告をしていなかった場合は違反とみなされます。
適正に保険金を受け取るために、関係ないかもしれないことであっても申告をしておけば安心です。
加入後に治療開始したときは【追加告知】でトラブル回避!
生命保険等の加入時には病歴や健康状態についての告知が必要です。AGAの治療歴についても申告しておく必要がありますが、既に告知せずに加入してしまった場合は追加で告知申請をすることができます。
基本的に生命保険等の加入から2年以内であれば追加申告が可能ですが、商品の種類等によって異なることがありますので、直接保険引き受け会社に確認するのが安心です。
生命保険等のセールスマンに確認し「告知不要」とされたとしても、実際には告知すべきであることがあります。そのような場合は、状況によって大きなトラブルになることがあり得ますので、必ず引受会社に直接確認すること。できれば書面で確認しておくとより安心です。
AGAの治療をする際は【病院や専門クリニック】へ!

AGAの対策や緩和を謳う商品がたくさん販売されています。応急処置としてそれらを利用するのもひとつですが、本気でAGAをなんとかしたいと思うのであれば、AGA外来のある総合病院またはAGA専門クリニックの受診がオススメです。
AGAに関する商品を自己判断で使用していると、症状によっては悪化することがあり、改善が遠のいてしまうことも。まずは、専門医の診察を受けることで早期改善につながります。
医師による診断!症状や体質にあわせた【効果的な治療法】
AGAは自然治癒することはなく、対策を怠ると進行していきます。AGAは多くの男性が発症しているため、現在では全国の病院、専門クリニックでその治療を受けることができます。
AGAの治療を行っているのは、皮膚科、美容外科、AGA専門クリニック等です。総合病院の中でAGA外来を設けているところもあります。いずれの科であっても基本的にAGAの治療は自由診療となります。
AGAの症状が疑われる場合、まずは皮膚科受診がオススメ。AGAであるかどうかを皮膚科専門医に判定してもらいましょう。その上で皮膚科でそのまま治療を進めるか、AGA専門クリニックを受診するかを決定するのがベターです。
AGAの治療は服薬や貼付薬など症状と体質に合わせて実施されます。それぞれにあった最適な治療法が採用されますので安心して治療に専念することができます。
保険適用?AGA治療が【他の治療の一環】としてされる場合
AGAの治療は基本的に保険適用外となり自由診療とされます。医療費控除の対象にもなりません。但し、他の基礎疾患や何らかの病気がベースとなってAGAを発症している場合はこの限りではありません。
例としては、皮膚疾患や免疫疾患など、他にも何かしらの病気が元となってAGAが起こることがあります。この場合は元となる病気について診断をつけてもらうことが先決です。しかるべき診断を受けて元の病気と併せてAGA治療を行いましょう。
反対に考えると、何か別の病気がきっかけでAGAが発症している可能性があるということです。薄毛を自己判断でAGAとして対策商品を使用するのではなく、きちんと専門医による診断を受けた上で対策していくのが安心といえます。
皮膚科で?保険が適用の【外用薬の処方】がある場合も!
AGAの治療を行う皮膚科では健康保険が適用内の薬を処方してもらえることがあります。
AGAの治療には、内服薬と呼ばれる飲む薬と、外用薬と呼ばれる塗る薬が併用で使用されることがメジャーです。AGA治療のための内服薬については、いずれの診療科においても保険適用外となりますが、外用薬については保険適用内の薬を処方している皮膚科があります。
健康保険が適用されると治療費が抑えられるため非常に助かります。特に継続治療が必須とされるAGA治療においては、トータル費用に大きな差が出るでしょう。
保険適用の外用薬での治療を希望する場合は、AGAを取り扱う皮膚科に相談してみるのがオススメです。
【知識】主なAGA治療とは?代表的な治療法を紹介!

AGAを医療機関で治療する場合、いくつかの異なる方法が使用されます。代表的な治療法は以下の3つです。
- 投薬治療・・・内服薬・外用薬がある
- 注入治療・・・頭皮に直接アプローチする
- 自毛植毛・・・自分の毛を頭皮に移植する
それぞれの方法にはメリット・デメリットがあり費用や治療に要する時間などにも違いがあります。各治療法の詳細を知ることが、自分にとっての最適な治療を選択することにつながります。
AGAの治療法についてAGAの治療、タイプ別に詳しく解説します。
投薬治療|脱毛抑制と発毛促進の成分でアプローチ!
AGAの治療で最もメジャーなのは内服、外用など投薬によるアプローチです。AGA治療には健康保険が適用されませんが、使用される薬は治験を経て効果が実証された認可薬です。そのため、ドラッグストアや、個人輸入で手に入る薬と比べしかるべき効果を実感できる可能性が高いといえます。
AGA治療では、発毛を促進するための薬と、脱毛を抑制するための薬がダブルで使われます。
AGAの進行具合や患者個人の特性によって、それぞれの薬が処方されます。
外用薬としては、ミノキシジルなどを処方されることが一般的です。外用薬は副作用が少なく、医療機関によっては保険適用内で処方して貰えることがあります。但し、内服薬に比べて効果にばらつきがある点や、深刻なAGAには効果が薄いといった特徴があることから、内服薬との併用が一般的です。
注入治療|話題の最先端技術!メソセラピー・HARG治療
AGAの治療で注目されているのが「メソセラピー」という方法です。AGA改善に効果が期待できる薬品を頭皮に直接注入する方法で、治療効果が投薬治療よりも早く感じられやすいのが特徴です。また、AGA以外の脱毛症状にも効果が期待できるため、幅広い治療に適しています。
具体的な治療法は、注射、針のついたローラー、レーザーなどを使って行われます。方法によっては痛みを伴うものや、治療費が高額になるものもあります。
「HARG治療」はメソセラピー治療と同様に、薬剤を直接局所に注入する方法ですが、こちらは使用する薬剤が特定されています。幹細胞から抽出した成長因子を頭皮に送り込む再生医療で、脱毛症を根本から治療することができるとされています。HARG治療は認定を受けた治療期間でしか扱うことができませんので希望する場合は確認が必要です。
自毛植毛|AGAの影響のない頭皮から毛根を移植!
AGAの治療の方法に自毛植毛という手段があります。
自毛植毛の方法としては、以下の2種類が代表的です。
- FUT法
- FUE法
FUT法は、頭部の髪が豊富な部分から皮膚を切り取り、脱毛が進行している部分に移植を行う方法です。ある程度、大がかりな手術となるため傷が完治するのに時間がかかるとされています。
FUE法は、パンチを使って移植を実施します。頭皮の毛髪が現存している部分の毛根をパンチで切り取り、脱毛部分に移植します。切り取り箇所が限定的であるためダメージが少ないのが特徴です。
いずれの自毛植毛についても、費用がそれなりに必要で定着率や発毛率は完全ではありません。希望する場合は手術数の多い安心な医療機関を選ぶようにしましょう。
まとめ|保険会社への告知を忘れずにトラブルを防ごう

AGAの治療について、健康保険での取り扱いや、生命保険等との関連について解説しました。
AGAは基本的に健康保険の適用外ではありますが、治療によっては適用されるものもあります。また、健康保険の適用外ではありますが、生命保険等に加入の際は申告が必要な正規の治療でもあります。後々に大きなトラブルにならぬよう、正しい対処が必要です。
AGAは医療機関で適切な治療を受けることで緩和、改善を見込むことができます。自己判断で症状を悪化させる前に、まずは皮膚科の診察を受けましょう。
自分にあった治療法で、AGAと上手に付き合うのが改善への第一歩です。