日本人男性の多くが直面する悩みの1つに、AGA(男性型脱毛症)が挙げられます。
残念ながら、一度薄毛が進行すると自然治癒することはなく、治したい場合は何らかの治療を受ける必要があります。AGA治療を専門とするクリニックや美容皮膚科などで治療を受けられますが、専門の診療科は実は皮膚科なのです。
この記事では、皮膚科とAGA治療専門のクリニックの違いや、保険適用、治療方法や治療薬について徹底的に解説していきます。
目次
【皮膚科】でも治療は可能!専門クリニックだけでない

AGAの治療を検討している方は、まずAGA専門クリニックや美容外来などを思い浮かべるかもしれません。
しかし、実は皮膚科でもAGAの相談や治療は可能で、薄毛治療の専門の診療科と言うと、本来は皮膚科なのです。そのため、皮膚科医もAGA治療の知識や経験はありますし、治療薬の処方も可能です。
もちろん、各院によってAGA治療の実績や医師の腕は差異があります。事前に口コミを調べたり、ご自身が希望される薬や治療法の取り扱いがあるかなど、病院へ問い合わせをしてみると良いでしょう。
全て自費治療!AGAの検査や治療は【保険適用外】が基本
美容外来などであれば保険は適用されず、全額自己負担となることは想像に容易いかと思います。それでは、皮膚科におけるAGA治療であれば、保険適用にできるのでしょうか?
実は皮膚科でAGA治療を受けたり、薬を処方されても、原則として保険適用外となります。そのため、診察にかかる費用は全額自己負担、全て自費治療となります。
AGAの治療は、とても高額だと言われています。その理由は、一般的な病気や怪我の治療では保険適用となるのに対し、AGAの治療は保険適用外で、治療にかかる費用は全額自己負担となるためです。
AGAは命に関わるような病気とは見なされないため、保険が適用されず、10割負担となるのです。そのため、患者の経済的負担はかなり大きい治療と言えるでしょう。
【稀に】医療費控除・保険適用される ⇒ 皮膚の病気の場合
このように、AGAは「生命を脅かす病気への治療」というわけではありません。
「将来的にハゲたら嫌だから予防的に通院しておく」「年齢的にも薄毛が気になってきたので治療する」などの理由では、あくまで「審美的な医療行為」に当たります。そのため、基本的には医療費控除の対象にはできないし、健康保険の適用もできないというわけです。
しかし、ケースによっては、稀に医療費控除の対象や保険適用にできる場合もあります。それはどのようなケースかというと、皮膚の病気によって薄毛の症状が発症・進行して、その病気の治療としてAGA治療を行う場合です。
このような場合は、単なる美容目的ではないため、医療費控除の対象に含めたり、保険適用の治療となる場合もあります。個別のケースについては、税務署や病院に問い合わせしてみましょう。
【比較】皮膚科とAGA専門クリニックの3つの違い

AGAの治療は、皮膚科でもAGA専門クリニックでもどちらでも可能です。
それでは、両者にはどのような違いがあるのでしょうか。大きく分けて、次の3つの違いが挙げられます。
- 処方薬の種類
- 治療法
- 治療にかかる費用や期間
次からそれぞれの違いを詳しく解説していきましょう。
①処方薬|ガイドラインに沿って診察&海外の内服薬も
まず第一の違いとして、処方されるAGAの治療薬が異なります。
皮膚科では、ガイドラインに沿って、患者の頭皮の状態や薄毛の進行度合いなどを診察していきます。診察結果を踏まえて、機械的に治療薬が処方されるので、選択肢が限られています。
さらに、一般的には皮膚科での治療は「薄毛の改善」ではなく、「現状維持」が目的です。そのため、治療薬の種類が限られているという特徴があります。
一方で、AGA専門クリニックでは、薄毛の予防や進行を遅らせる治療、さらに薄毛の改善からアフターケアまで、それぞれの患者の頭皮状態や要望に合わせた治療が可能です。
そのため、治療薬も幅広く用意があり、場合によっては海外の内服薬を紹介してもらえることもあります。
②治療法|クリニック独自の技術も!HARG療法など
第二の違いとして、AGAの治療法が異なります。
皮膚科でのAGA治療は、薬を処方される治療がほとんどです。しかし、薬の処方以外の治療も含め、カウンセリングからじっくり相談して、ぴったりの治療法を提案してもらいたいという方は、皮膚科だと物足りなく感じるでしょう。
AGA専門クリニックでは、悩みや要望を詳しくカウンセリングしてくれた上で、効果的で適切な治療法を幅広く提案してもらえます。その理由は、皮膚科の治療目的が「現状維持」であるのに対して、AGA専門クリニックでは予防から改善、アフターケアに関するまで患者に合わせた治療を掲げているためです。
例えば、頭皮に有効成分を注入して発毛や育毛を促進させるHARG療法は、AGA専門クリニックでのみ治療が可能です。
③費用と期間|投薬は数千円~!治療法で大きく異なる
第三の違いとして、治療に要する費用と期間が異なります。
投薬の費用は、いずれの場合でも保険適用外となります。皮膚科では、脱毛予防薬のみの処方が一般的で、その費用相場は1ヶ月あたり3,000円〜7,000円ほどです。
さらに予防薬だけではなく発毛促進までできる薬も複数処方してもらえると、1ヶ月あたり10,000円〜15,000円ほどとなります。さらに注入治療なども加えると、1回につき5〜10万円ほど増えます。
AGAの治療は継続的に行わないと効果が現れないので、治療期間は最低でも半年〜1年ほどかけるのが一般的です。しかし、自毛触毛であれば脱毛箇所に毛根を移植するので、たった一度の手術を受けた後はすぐに増毛を実感できます。そのため、継続的な治療は不要となります。
AGAの治療法は?進行状況や目的にあわせて選ぼう!

それでは、AGAの治療には、具体的にどのような方法があるのでしょうか。
治療方法には大きく分けて4種類あります。
- 「内服薬」による治療
- 「外服薬」による治療
- 「注入治療」・・・頭皮に直接薬を塗り込む
- 「自毛植毛」・・・毛根を脱毛箇所に移植する
それぞれの治療法によって期待できる効果や治療期間、費用も異なってきます。次から順に説明してまいりましょう。
【内服薬】主に脱毛抑制と発毛促進の2タイプ!
皮膚科とAGA専門クリニックのいずれにおいても、最もポピュラーな治療方法が内服薬を用いた治療です。
内服薬の効果には、脱毛を抑制する効果のものと、発毛を促進する2タイプがあります。
これらの内服薬は皮膚科でもAGA専門クリニックでも処方してもらえますが、より幅広い種類の治療薬を取り揃えているのはAGA専門クリニックです。
【外服薬】保険適用になる脱毛症向けの治療薬も
AGA治療における外服薬は、飲み薬ではなく頭皮に直接塗り込んで、毛母細胞に発毛促進を働きかけて薄毛を治す治療法です。
「ロゲイン」という、発毛因子であるミノキシジルを配合した外用薬が代表的です。頭皮の毛細血管の血流を良くして、髪の毛に十分な栄養を行き渡らせることで、発毛促進します。
- 1日2回使用する(12時間は間を空けた方が良い、朝晩が理想)
- 各1mlを薄毛が気になる箇所に直接塗る
- 毛根自体が死んでいる場合、円形脱毛症などの場合には効果が発揮されにくい
もしストレスや免疫低下が原因と言われる円形脱毛症などには、ロゲインではなく脱毛症向けの治療薬が処方されます。外用薬は場合によっては、保険適用となることもあるので、まずは受診して、確認しましょう。
【注入治療】最先端!発毛に効果的な成分を頭皮に直接
注入治療は、これだけの治療で完全に治癒することは少なく、内服薬や外服薬での治療と併用したり、これらの治療で結果が出ない場合に次の治療として検討される方法です。
具体的な注入治療には、「メソセラピー」や「HARG療法」と言われるものがあります。これは、脂肪幹細胞の培養上清液から抽出したたんぱく質を、頭皮に直接注入する薄毛治療です。
自分の症状や体質、期待する効果や費用との兼ね合いを見て、どのメニューにするかを選択するようにしましょう。
注入治療は効果が期待できる一方で、費用は割高となります。目安としては、内服薬などを用いた基本的な治療の2倍ほどのコストとなる可能性があります。
【自毛植毛】毛根を移植!高額でも確実な効果あり
最後に、自毛植毛という治療方法があります。脱毛していない箇所の自分の毛根を、薄毛の部分に移植する方法です。
自分の皮膚や髪の毛を利用しているため、拒否反応を起こしにくく、定着すればヘアサイクルを繰り返すようになります。するとメンテナンスも不要となることが、最大のメリットです。
また、他の治療と比べて、植毛に成功すれば効果も即効性があるので、治療期間も短縮できます。しかし、一度に移植できる毛量には制限があります。そのため、広範囲に埋め込みたい場合は、複数回の治療・通院が必要となります。
治療費用は高額で、浅めのM字ハゲの修正で50~70万円ほど、AGAがかなり進行している全体的な修正ともなると200~300万円ほどかかります。自毛植毛は高額ですが、確実な効果が期待できるのです。
【必読】治療薬を安く?個人輸入がダメな3つの理由

ご紹介したように、AGAの治療には様々な種類があります。
しかし、そのいずれも、大抵の場合は保険適用外ですし、薬代も高額なので、患者としては経済的負担の大きい治療と言えます。そのため、少しでも治療費用を抑えるために、治療薬は個人輸入にしようと検討する方もいるかと思います。
個人輸入とは、皮膚科やクリニックを通さず、自分自身で個人的にAGAの治療薬を購入することを言います。
しかし、個人輸入は以下のようなリスクがあります。
- 偽造品や粗悪品の可能性
- 適切な薬や正しい服用方法がわからない
- 費用がかさんでしまう
それぞれのリスクについて詳しく解説していきますが、AGA治療薬は正規ルートで薬を手にすることが安心です。
偽造品や粗悪品の可能性!健康被害のリスクも高い
個人輸入がダメな理由の1つに、健康被害のリスクが大きいことが挙げられます。
通常は皮膚科やAGAの専門クリニックが、厳しい品質検査を通った薬を正規ルートで手に入れ、適正に保管した上で患者に処方しています。
しかし、個人輸入の場合、購入元の業者が薬をぞんざいに扱っていて、劣悪な環境で保管されている粗悪品であったり、ひどい場合には偽造品である可能性すらあります。
個人輸入した薬を服用した結果、全く治療効果がなかったり、健康被害に遭ったとしても、これらは全て個人輸入した自分の責任となります。
治療薬は、直接体に取り入れるものですので、出所がわからない薬を服用することはあまりに危険です。多少安く購入できたとしても、健康被害に遭っては元も子もありません。
症状や体質への適性・正しい服用方法がわからない!
理由の2つ目に、体質への適性や正しい服用方法がわからないことが挙げられます。
皮膚科やAGA専門クリニックで薬を処方される際には、必ず医師からその服用方法から起こりうる副作用などの反応の例、症状に合わせての服用方法などを説明してもらえます。
また、いざ服用してみて体に異変があった場合、すぐに連絡して相談できる、頼れる場所があるという安心感もあります。医師による専門的な知見から対処してくれます。
しかし、個人輸入の場合は、効果や健康被害に至るまで、全てが自己判断、自己責任となります。そのため、場合によっては誤った服用方法を続けてしまったり、症状や体質に合っていない薬を飲み続け、治療効果が出ないだけでなく健康被害につながることがあり得ます。
とりあえずで試すうちに…コストがかかることも
理由の3つ目は、正規ルートで手に入れるよりも安いからと、あれこれ薬を試しているうちに、思ったよりも費用がかさんでしまうことがあるためです。
個人輸入で治療薬を入手した場合、クリニックで処方してもらうよりも安くすむことが一般的です。そのため、試しにいくつもの種類を買ったは良いものの、使いきれなかったり体質に合わなかったりすれば、結局トータルコストは高くついてしまいます。
薬には、効果的な服用方法や頻度というものがあります。そのため、自己判断でいくつもの薬を服用するのは危険ですし、思ったような効果が出ない場合もあります。
やはり皮膚科やクリニックで診断の上、治療薬を処方してもらう方が確実でしょう。
まずは皮膚科やクリニックで相談することが大切!

今やインターネットで何でも調べて情報を得られる時代です。とは言え、各個人に適した情報というのは選別が難しいものです。
まずは、自分の体質や症状、薄毛治療に対する要望などを踏まえた上で、専門的な知見から適切な治療を提案してもらえる機関を受診することが最善でしょう。
その中でも、自分に合ったアドバイザーを見極める必要があります。薄毛治療を検討している方は、まずは皮膚科やAGA専門クリニックでカウンセリングをお願いすることをオススメします。
まとめ|皮膚科でも治療可能!クリニックと検討しよう

いかがでしたでしょうか。AGAの初期症状の人は、自己流のケアでなんとか対策をしようとする人がほとんどです。
しかし、薄毛は一度始まってしまうと、自然治癒はせず進行する一方です。そのため、悩み始めたら1日でも早く専門的な治療を始めることをオススメします。
症状が深刻化する前に、ご自身が望む治療法や治療薬、また費用や治療期間を踏まえた上で、まずは皮膚科やクリニックで専門家からのアドバイスを元に治療していきましょう。
AGA治療は日々研究、開発が進んでいます。根気強く治療していくことで、AGAの悩みも次第に解消されていくことでしょう。